丑三つ時に。


授乳のために 夜中も 何度か 目を覚ます。
最初の頃 目を 覚まさなきゃ、と 思うがあまりに
金縛りが 癖に なってしまった時期があった。


まず 目は閉じている(多分)のに
部屋の様子が 見える。
それから 耳に聞こえる音が
細かい粒子に なって
重く重く 体に まとわりついてくる。
声を 出そうと しても
体を 動かそうとしても ぴくりとも 動かない。


その 粘り気のあるような 重い粒子を
振り払うように 声を 出そうとすれば
金縛りは 解ける。


ありがたいことに 胸の上に
老婆が 乗っていたり
部屋の隅で 白い着物の 女の人が
しくしく 泣いていたりはしないけれど
なるべく 遠慮したいなぁ、と 思う。